MacBook Air(2)

 新型MacBook Airはハードディスクの代わりにSSD(Solid State Drive)が搭載されている。高性能大容量のUSBメモリが内蔵されているようなもんだと考えればいい。回転する磁気円盤にデータを記録するハードディスクと違ってSSDは小型/省電力/耐衝撃/高速といった多くの点で優れている。欠点と言えばまだ単価が高いということくらい。ハードディスクなら500GBが6,000円くらいで売ってるが、SSDはたった128GBで2〜3万円もする。読み書きが高速なSSDは特に高い。

 それでも小型/軽量を目指したMacBook Airはあえて全モデルSSD搭載になっている。SSDを前提として設計したからこそ可能になったパソコンともいえる。しかしそうなると必然的に記録容量が小さい。11インチ標準モデルはたった64GB。カスタムモデルでも最大128GB。ライトユーザならまだしも、私が普段使っているMacBookではOSやソフトとデータを合わせてすでに240GB程度使っている。とてもじゃないが全データは入りきらない。これがAirを「出張専用」のサブマシンとする理由の一つでもある。必要なデータだけコピーして出張に行くというスタイルになるんだが「必要なデータだけ持っていく」というのが難しい。出先で急に必要なデータがあったらどうする?

 そこで今まで使ったことがなかった『どこでもMyMac』を使ってみることにした。アップル社が提供するMobileMeというオンラインサービス(9,800円/年)に加入すると使えるようになるサービスの一つで、インターネットを経由して外出先のマシンから自宅のメインマシンにアクセスできるというもの。いままではメインマシンをそのまま持ち出してたから使う機会がなかったけど、これを機に使ってみることにした。準備は簡単。

  1. メインマシンとサブマシンの両方で[システム環境設定]>[MobleMe]>[アカウント]に自分のMobileMeアカウント情報を登録して[どこでもMyMac]を開始にする。
  2. ルータのUPnP機能をONにする(ルータにApple製品を使っていれば自動的にNAT-PMPがONになる)。
  3. メインマシンの[システム環境設定]>[共有]で使いたい機能にチェックマークを付ける。私は[画面共有]と[ファイル共有]をONにした。
  4. スリープ中のメインマシンを起こすことができるようにメインマシンの[環境設定]>[省エネルギー]設定のところで[ネットワークからのアクセスでスリープを解除]をONにしておく。

 以上で準備完了。さてMacBook Airを持ってドトールへ出発。ホントはスタバでフフーンな顔して使うのがカッコ悪くていいんだけど、近くにそんなオシャレな店はないのでドトールへgo。コーヒーを飲みながらイーモバイルのPocketWiFiをスイッチON。MacBook Airをインターネットに接続したらすぐに共有デバイス欄に自宅のメインマシンが現れた。おおっ、早っ。両方のマシンにすでにMobileMeのアカウントを登録してあるのでアップル社のサーバを介してすぐに両者が結びついてくれる。面倒な呼び出し作業がいらないのはうれしい。

 で、自宅のメインマシンをクリックするとウインドウ右上に「画面を共有…」「別名で接続…」ボタンがでてくる。[別名で接続…]ボタンをクリックするとメインマシンのハードディスクが現れて外付けハードディスクと同じような感覚でファイルの読み書きができる。出先で急に必要になったファイルはこれで簡単に取り出すことができる。ネットワークの速度が十分確保できていればわざわざこちら側にファイルをコピーしなくてもメインマシンのファイルを直接開いて編集することだってできる。これなら自宅に帰って出張専用機のファイルをメインマシンに戻して更新する手間がいらないのでさらに便利。

 衝撃的な面白さは[画面を共有…]。これをクリックすると画面共有ソフトが起動してウインドウの中に自宅のメインマシンが現れる。これで自宅のメインマシンを遠隔操作できるのだ。たとえばサブマシンにインストールしてなかったソフトを急に使わざるをえなくなった時に遠隔操作でメインマシンのソフトを起動して作業することができる。

↓サブマシンの中にメインマシンの画面が登場する。これで遠隔操作できる。

 インターネットにさえつながっていれば、メインマシンのファイルを読み書きしたり、遠隔操作できるとなるとMacBook Airの記録容量の小ささはさしたる問題ではなくなる。出張専用機としては最適。

 画面共有もファイル共有もVNCやAFP, FTP, SMBといった既存の仕組みをベースにしているのでMacじゃなくてもできる話なんだが、MobileMeというオンラインサービスを核にしてハードウエアからOSまできれいに連動させることで面倒な設定やソフトのインストールをすることなくあっさりとファイル共有や遠隔操作ができちゃうあたりにMacOSのエレガントさを感じてしまうMac信者な私。たいして使いもしないのに毎年MobileMeにお布施してきた甲斐があったわ。