宇宙世紀の物理

 スペースコロニーはグルグル回転させて遠心力によって疑似重力を作る。人間が筒の内壁に「押し付けられる」ことが地球上での重力に相当するということなんだが、しょせんは疑似重力。地球のような巨大質量物が万有引力で周囲の物質を「引き寄せる」ことで生まれる重力とは違う。この違いは意外と大きい。

 たとえば車がコロニーの回転方向と同じ方向に激走するとどうなるか。コロニーの回転に車の移動速度が加わるので車はすごい勢いで回転していることになる。車にかかる遠心力は激増。乗ってる人間はウヒー。まあそうなる前にタイヤがつぶれて摩擦が強くなるからそんなスピードは出ないと思うけど。

 こんどはコロニーの回転方向と逆方向に激走したらどうなるか。たとえばコロニーの回転と逆方向にコロニーの回転速度と同じ速度で走ったら。その状態をコロニーの外、つまり宇宙空間から見ると、その車は宇宙空間では停止していることがわかる。ブンブン回っているコロニーの中で逆方向にブンブン回ると空間内では停止してることになるのでこの車には遠心力が働かなくなる。まあそうなる前に車がコロニーの内壁(道路)に押し付けられる力が働かないのでタイヤが空回りするからそんなことにはならないと思うけど。

 コロニー内でF1やインディーカーレースは無理っぽい。軸方向に走るぶんには問題ないけど、円周方向に走る時はスピードを落とさないと浮き上がったり、逆にタイヤがパンクしたりするかも。