卒業式の祝辞

 あー、3週間ほど前の話になってしまうんだけどね、子どもが通っている学校の卒業式に出たんです。ウチの子は卒業じゃないんだけど、PTA会長などという大層なお役目をいただいているので卒業生に祝辞を述べたんです。まあそれは置いておいて。卒業式となると教育委員会からも祝辞をいただく。卒業式の来賓祝辞って、とくに教育委員会からの祝辞ってみんな原稿に目を落として読み上げるだけで心がこもってないというか、もうちょっと何とかならんもんかなぁと思ってたんだけど、今回理由がわかった。

 我が校に教育委員会から祝辞を述べるために派遣されたのはなんと前年まで我が校の校長を務めていた方。本来ならもっと下っ端の職員が来るらしいんだけど、教え子たちの卒業を祝いたいと前校長たっての希望で実現したらしい。控え室で私を含めて他の来賓や校長と談笑してるときに前校長が言うには、教育委員会からの祝辞を述べるために派遣される人たちは事前に職場で『君たちは「教育委員会の祝辞」を届けるために行くのだから用意された原稿を一字一句間違えずに正確に伝えるのが職務である。』というようなことを言われてきているんだと。要するに自分なりに勝手にアレンジしてはいけないという制約がもともとついているんだって。だから前校長も教育委員会から渡された原稿を手に「これ長いし、自分の言葉じゃないから原稿から目が離せないんだよねぇ」と苦笑い。なるほど、教育委員会から来る人の祝辞って心がこもってねえなと思ってたけど、そりゃ他人が考えたながーい祝辞を一字一句間違えずに伝えることが目的なんじゃしょうがないわな。同情する。

 しかし、さずが前校長。本番では自分の教え子たちを前にまずは自分の言葉でお祝いを言ってくれた。原稿なしで生徒に向かって語りかける。そうそう、そうだよね。んで、ひと呼吸おいて、「それでは教育委員会からの祝辞を・・・」。ウケた!最高だ、立派だ、前校長。

 後日、地域のPTA会長が集まった会合で、卒業式での教育委員会からの祝辞が話題にでて、やっぱり全校でまったく同じ内容だったのがわかった。そうか、そうだったのか。

・・・・現在、明日の入学式の祝辞を一夜漬け暗記中のオレがちょっとテンパったので息抜きに書いてみた。