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楽譜用照明(2)

 居間に置いてある電子ピアノ。部屋の明かりだけだとちょっと暗いので楽譜を照らす照明が欲しい。ということで以前、MightBrightという会社の「XtraFlex Duet LED Music Light」というLEDライトを買った。Amazonで3,000円弱。安い割によくできてるんだけど「もうちょっと明るいやつないかなあ」という不満がカミさんから。えーっ、うーん、このライトが暗いんじゃなくて居間が十分明るいんじゃないでしょうか?

 とは言うもののちょっと調べてみると、そのMightBright社から「Orchestra Light」という製品が出ているのを発見。「XtraFlex Duet LED Music Light」はLED4灯だが、こちらは9灯。2倍以上のLEDが横一列に並んでいる。価格は$69.99。しかもこいつはなんと「ACアダプター付き」。ネットで探すと5,000円くらいで売ってる。「XtraFlex Duet LED Music Light」はACアダプタ別売りで3,000円だったことを考えるとこれから買う人はこっちにした方がいいと思う・・・・・これから買う人は・・・・・ということで私もさっそく買うことにした。ところが日本で売ってる「Orchestra Light」は何故かACアダプタが付属していない。おや?メーカーのサイトではACアダプタ付きって書いてあるのに、日本ではどの店もACアダプタが付属してない。なぜ?なぜだ? うーん、照明器具を電池で使うと電池の消耗に応じて徐々に暗くなっちゃうんだよな。常に最高照度で使いたいからACアダプタは必須だよ。そういえば「XtraFlex Duet LED Music Light」を買ったときも別売りのACアダプタはどの店も取り扱ってなくて、しょうがないから米国のメーカーのオンラインショップで直接購入したんだった。どの店も本体は売るけどオプション品は取り扱ってませんってのは変だなあとは思ったけど。それにしても今回にいたっては付属品であるはずのACアダプタまでわざわざ付属しない状態で売るなんて、これはいよいよもって変だ、変すぎる。

 ちょこちょこっと調べたらどうやらこういうことらしい。電気用品安全法という法律によって2001年4月以降に日本で販売されるACアダプターは法律で定められた方法で安全性に問題がないことを確認して「PSEマーク」というのを取得して製品に印刷しないといけないんだと。「Orchestra Light」は米国製品なので付属のACアダプタはPSEマークを取得してない。PSEマークの取得は輸入業者がやってもいいことになってるんだけど手続きに必要な試験にはそこそこお金がかかるらしく、そんなに大量に売れる商品じゃないからわざわざPSEマークを取得してたら利益が出なくなっちゃうのかな?どの輸入業者もわざわざACアダプタなしで輸入して販売する方法をとっているみたいだ。ふーん。そうなるとOrchestra LightをACアダプタで使う方法は2つ。

  1. 付属のACアダプタと同仕様のACアダプタを日本の電気屋で探して買ってくる。
  2. ACアダプタが付属している米国仕様を個人輸入する。

 わたしの選択は(2)。MightBright社は自社のホームページで直販もしていて、日本にも送料$20で送ってくれる。送料入れても$89.99なので最近の円ドルレートだとだいたい7,400円。ACアダプタなしの日本仕様を買って適合するACアダプタを別途探して買うくらいならACアダプタ付属の米国仕様を米国からの送料込みでこの値段で買えるなら安いもんだ。ということでメーカーのオンラインショップで購入。

 ちなみにPSEマークが付いてないACアダプターを使うことになるけどこれは問題ないらしい。この法律は国内で「販売するときの」ルールであって、使うことに関してのルールではない。だから無償譲渡されたり個人輸入したACアダプタにPSEマークが付いていないことについては(国内での販売行為が発生していないから)何も問題ないんだって。そうじゃないと海外からの旅行者が携帯電話とかゲーム機の充電用にACアダプタを一緒に持ってきてホテルのコンセントに差し込んだら法律違反とかわけわかんないことになっちゃうし。

 さて届いたのがこれ。

 さすが「オーケストラ」ライトというだけあってACアダプタのコードが長い、長い。たぶん4mくらいあるんじゃないかと思う。舞台の後方のコンセントからでもなんとか届く感じ。うちは居間の電子ピアノに固定するから関係ないけど。

 まさに「オーケストラ」ライトだけあって、演奏会などで持ち歩くことを想定した専用のバッグまで付いてる。うちは居間の電子ピアノに固定するから関係ないけど。

 「Orchestra Light」と「XtraFlex Duet LED Music Light」を比較する。「Orchestra Light」はLEDが9灯横並び。よく見るとLED一つ一つが微妙にいろんな方向を向いているので広めの範囲を照らせるみたい。そうそう写真ではよく見えないけど楽譜の向こう側に相当する方向に光が漏れにくいようにちょっとした出っ張りがある。まさに「オーケストラ」ライト。楽譜は照らすけどお客さんの方には光が漏れにくい形になってる。うちは居間の電子ピアノに固定するから関係ないけど。

 居間の電子ピアノの譜面台に取り付けるとこんな感じ。フレキシブルアームで適当な向きに調整できる。

 参考までに部屋を真っ暗にしてOrchestra Lightを点灯してみる。

 ピアノの横長譜面台でも全体を照らせる。ついでに鍵盤も照らせる。真っ暗な部屋でもこれだけ明るくなるんだからOKだろ。もしこれでもまだ暗いとか文句言われたらいよいよウチの居間は十分明るいってことでいいんじゃないだろか。

INCIと表示名称の不思議な関係

 化粧品の成分表示に使用する成分名称は、米国では PCPC が作成している INCI (International Nomenclature of Cosmetic Ingredients) を使っている。日本では粧工連が作成している化粧品の成分表示名称を使っている。PCPC が作成した INCI に対して粧工連が化粧品の成分表示名称を作成するという流れなので両者は1:1で対応するはずなのだが、いろいろ事情があって理想通りにはなってない。

 ”TALLOW” という INCI がある。”TALLOW” に対して粧工連は「牛脂」という表示名称を割り当てている。ICID(INCI辞書)で “TALLOW” を引くとJapanese Translationの欄に「牛脂」と書いてあり、表示名称事典で「牛脂」を引くとINCIの欄に “TALLOW” と書いてある。「TALLOW=牛脂」化粧品技術者ならごく当たり前のように知っている関係。一見、PCPCと粧工連の見解に相違はないようにみえる。ところが “TALLOW” の定義には “Tallow is the fat derived from the fatty tissue of sheep or cattle.” と書いてある。

シ、シープぅ?!

 ”TALLOW” って羊の脂肪でもいいの? で、でも表示名称は「牛脂」だよ。念のために「牛脂」の定義をみても「本品は、ウシ Bos taurus の脂肪組織から得られる脂肪である。」と書いてある。牛限定!!しかし “TALLOW” は羊の脂肪でもOKなのだ。

 知人から「久光くん、TALLOWと牛脂の定義がズレてるの知ってた?」と聞いたときは「まさかぁ」と思ったけど確かにズレてる。いつズレたんだろう。古いICIDを調べるために2004年版のICIDが所蔵されている横浜市立中央図書館に行ってきた。↓2004年版ICIDの該当箇所をコピー

 へえ、2004年版(第10版)の時点ですでに羊を含んでいたんだ・・・けっこう以前からズレてんのな、知らなかった。それに2004年版の時点ではTALLOWは牛脂のほかにトリ牛脂脂肪酸グリセリルでもOKだったんだ。トリ牛脂脂肪酸グリセリルって・・・・ん?牛脂を加水分解で牛脂脂肪酸とグリセリンに分解して、その牛脂脂肪酸と別のグリセリンから再度、牛脂を合成しなおしたものってことか? んー、ま、どうでもいいや。それより今は2004年版ICIDでもTALLOWは羊OKってことが問題だ。ってことは狂牛病の頃かな。あれで牛が使いづらくなったから急きょ羊も定義に追加したとか。狂牛病で化粧品業界がバタバタしたのは2001年末だったかな。ああっ、なんかスゲー忙しかった記憶が。しかしあの頃を境になんていうか原料問題がよく起きるようになったような気がする。あの原料が使用禁止とか、この原料の製造ラインが止まったとか、その原料が販売終了とか、原料メーカーが倒産したとか・・・・・おっと話がそれた。ICIDは2年おきに出版されているので狂牛病問題より古いとなると2000年版(第8版)ということになる。そんな古いICIDはどこの図書館にあるかなあとネットで検索・・・・・国立国会図書館か・・・・ということで資料複写請求した。↓2000年版ICIDの該当箇所のコピー

 えぇーっ?! 2000年版(第8版)にもsheepが入ってるぅっ! なに、なに、どういうこと? 表示名称制度開始当初からTALLOWにはsheepが入ってたのか。じゃあなんで “TALLOW” に「牛脂」なんて表示名称をつけたんだ? これじゃ羊の脂肪を使って “TALLOW” と書いてある化粧品や原料を輸入するときに「牛脂」と訳してしまったら厳密には定義に合致しないことになるんでないの? えぇーっ!? いいの? それでいいの? さるお方にことの経緯をお尋ねしたところ、はるか昔から日本ではみんなTallow=牛脂と思い込んでいた。2001年の全成分表示制度開始直前に気づいたけど、現実問題として羊を使っているTALLOWはほとんど存在しない(だからみんなTALLOW=牛脂だと思い込んでいた)から、TALLOW=牛脂でいいよってことになったらしい。

 でもな、気がついちゃうと気になってしょうがない。気持ち悪いよぉ。気持ち悪いけど今さら「牛脂」を「獣脂」とかに改名されてもよけい気持ち悪い。

 でな、今後作成されている表示名称では”TALLOW”を「タロウ」と音訳することになったらしいよ。すでに「タロウアミドMEA」「タロウトリモニウムクロリド」「水添タロウアミドDEA」「水添タロウエス-60ミリスチルグリコール」「水添タロウグルタミン酸2Na」などの表示名称が登録されている。タロウ、タロウ、タロウ・・・・ウルトラマ・・・・いや、なんでもない。

Password Assistant日本語化

 MacOSに内蔵されているパスワードアシスタント機能を呼び出すだけという単純かつ便利な「Password Assistant」というソフトを紹介した。これ言語モードが英語の状態で起動されるのでアシスタント画面が英語になっている。

 画像をクリックすると拡大表示で見れます。左が英語モード、右が日本語モード。まあ対した機能があるわけじゃないから英語でもまったく問題ないんだけど、日本語モードで起動したいなあと思ったのでちょっといじった。腕に自信がある人は本家サイトでソースコードが配布されているからそれをいじって日本語版をビルドしてもいいんだろうけど、日本語モードにすることくらいならそんな面倒なことしなくてもできる。

 まず「Password Assistant」を右クリックして「パケージの内容を表示」を選択する。これでソフトの中味を見ることができる。[Contents]フォルダを開いて[Resources]フォルダを開くと、そこに[English.lproj]というフォルダがある。このフォルダを右クリックして[複製]する。で、複製したフォルダの名前を[Japanese.lproj]に変更する。あとはフォルダを閉じてMacを再起動すればOK。lprojフォルダはソフトのメニューやボタンなどの画面表示に関する部分を各言語ごとに用意する機能で、Password Assistantの場合ここに英語モード用の設定フォルダしかないので英語モードで起動している。ここでJapanese.lprojという日本語モード用の設定フォルダを作ればOSがJapaneseモードになのでこのソフトもJapanese.lprojを優先使用してくれる。本来ならJapanese.lprojフォルダの中にある各種設定ファイル類を日本語表示に書き換えないと意味ないのだけど、なにしろPassword AssistantはOS内蔵のパスワードアシスタント機能を呼び出すだけというソフトなので、ソフトそのものにはウインドウやボタンなどが存在しないので内部を日本語用に書き換える手間もいらない。Japanese.lprojフォルダを利用して日本語モードで起動しているという状態にさえ作ればOSに内蔵されているパスワードアシスタントも日本語モードで起動してくれるというわけ。