日別アーカイブ: 2025年3月5日

演奏権料の包括契約

音楽教室で先生が生徒にお手本をみせる行為は『公衆に直接聞かせることを目的とした演奏』なので演奏権が及ぶという判決がずいぶん前に確定した。これにより、先生が演奏権の存在する楽曲のお手本を生徒にみせた場合、演奏権料の支払いが必要になった。

いったい、いくら払うのか?

正確を記すなら「お手本記録台帳」のようなものを用意して、教室の先生にレッスンが終わるたびに、JASRACが管理する楽曲のお手本を何分間演奏したかを記入してもらって累積時間数に応じて演奏権料を支払うことになる・・・けども、この自己申告方式は先生にも教室にも負担が大きいし、どうせ過少申告が多発して不公平感が充満するのも目に見えてるし、などいろいろ理由はあるんでしょう。自己申告方式とは別に簡易計算方式が長いこと議論されてきた。

このたび簡易計算方式として『生徒ひとりあたり年間750円(ただし中学生以下の生徒は100円)』が決まった。月謝の2.5%という当初案と比べると大幅に負担額が下がった。これほど負担額が低いと、自己申告方式にはメリットがほとんどないので、おそらく簡易計算方式による包括契約を結ぶ教室が多いだろう。かくいう当社もそのつもりだ。

しかし、安いとはいえ演奏権料を誰がどう負担するのか、悩ましい。どう悩んだとしても結局は年に1回、おとなの生徒から750円、中学生以下の生徒から100円を月謝と別に徴収してそれをそのまま演奏権料の支払いに充当することになるんだろうけどね。

一年を通して1回もJASRAC管理楽曲を練習しない生徒も中にはいるし、JASRAC管理楽曲を練習したとしても先生が1回もお手本みせずにすむ生徒も中にはいるかもしれない。そうなると払う必要のないお金をJASRACに払っていると不満に感じる生徒も出てくるかもしれない。そもそも「包括契約」とはそういうものなのでご理解いただくしかないんだけど、悩ましいところだなあ。

おとな750円、こども100円というのも、将来を担うこどもたちからはできるだけ徴収額を抑えたいという優しさから出た料金体系であることは十分理解できるし、ありがたい配慮だと思うけど、そう理解してそう感じる人ばかりではないからなあ。だって、演奏権料は先生がお手本をみせることに対して生じるんであって、それがなんで聴く側である生徒の年齢によって高くなったり安くなったりするのか理解できないって生徒も出てくるかもしれない。悩ましいところだなあ。