抗がん剤の最大の欠点カプセルで克服

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110106-00000176-yom-sci

 東京大学工学部の片岡一則教授らのチームが抗がん剤をガン細胞だけに作用させるための送達カプセルの開発に取り組んで、動物実験でその様子を観察できたという記事。

 実は私、片岡先生が東京理科大学にいたときの片岡研究室第1期生です。私が担当していた研究は別のテーマでしたが(インターネットで「久光一誠 片岡一則」と検索すると10年以上前に片岡研にいたころの研究業績がいくつか出てきます)。この記事の抗がん剤をガン部位にだけ特異的に集積させるための送達カプセルの研究(高分子ミセルによる抗がん剤DDS)はこの当時からすでに始まってました。理科大時代の研究室の後輩も今も数名残って片岡先生と一緒にいまやこの研究チームを率いる力を発揮しているようだし、20年かけてここまで到達したかと、先生の執念と研究チームの努力に頭が下がる。

 ちょうど先月、新宿で片岡先生の還暦を祝う会が盛大に行なわれました。僭越ながら私も祝辞を述べさせてもらいました。私が卒研生として片岡研究室に配属されたとき、片岡先生はちょうど40歳。それから20年経って私が当時の片岡先生と同じ歳になり、奇しくも大学で卒研指導補助をする立場になりました。あの当時先生から厳しく指導を受けたことを思い出しながら、今の卒研生にもその一部でも伝えられたらと思う今日この頃ごろごろ、ゴロニャン、ごろ寝。毎月やっていた長時間のディスカッションは(途中で居眠りしちゃって何度も怒られる悪い研究員でしたが)それでも今の私が研究に対してどのように取り組むかの基礎を作ってくれました。

 片岡教授はその研究に対する情熱や洞察力の高さもすばらしいのですが、人間的にもユーモアにあふれた魅力的な方です。それは還暦になっても失われることなく還暦祝いのお約束の赤いチャンチャンコを着ながらのお言葉は懐かしく楽しかったです。