漫画「ファイブスター物語」に登場するモーターヘッド(ロボット)のプラモデルブランド「IMS」(ボークス社)。モーターヘッドは大好物で、昔から欲しいなぁと思ってたけど、ガンプラと比べると高いし作るのに技術も必要で、二の足を踏んでた。去年、思い切って大好物中の大好物のL.E.D.ミラージュv3を買ってみたら、これがなんと、意外とそれなりに作れちゃうじゃんよ。まあ、それなりだけど、さ。
作れるってわかったら買うよ、買いますよ。次に買ったバッシュ・ザ・ブラックナイトはIMSでは最初期の製品だからパーツの合わせにちょっと苦労したけど、L.E.D.ミラージュ以上にほぼ塗装なしでできちゃったからこれまたよろしかったよ。
L.E.D.ミラージュもバッシュ・ザ・ブラックナイトもファイブスター物語を代表するモーターヘッドで、そんな夢のモーターヘッドのプラモデルを自分で組み立てたのは、もううれしくて、うれしくて。作れるってわかったから買うよ。もう、俺の物欲は誰も止められない、カミさんにも!!
すみません、言い過ぎました。カミさんには内緒でお願いします。
さあ、カミさんに内緒で勢いづくIMS祭り。止まらない私の物欲の第3弾はいよいよ主役中の主役モーターヘッド「ザ・ナイト・オブ・ゴールド」だ。税込11,000円のプラモデル。
組み立て説明書には漫画連載の初期に描かれた設定画が載ってる。
仮組み
まずはパーツを切り出して説明書に沿って組み立ててみる。あとでバラして塗装するから、これは「仮組み」。ピンをニッパーで少し切り落として細くしたり、穴をヤスリで削って少し広げたりして、簡単にバラせるように細工しながら組み立てて、パーツ同士のハマりが悪かったり合わせ目がズレていたりするところを見つけてピンを切り落としたりヤスリで削ったりして形を合わせていく。同じ色で塗装することになるパーツ同士はもうバラす必要がないのでこの段階で接着して合わせ目をきれいにしておく。
仮組み用にバラしやすくしてるってことはバラバラになりやすいってことなのでマスキングテープであちこち仮止めしながらの作業。本当なら全体を組み上げるまでが仮組みなんだろうけど、全身組み立てようとするとジェンガ状態、ちょっとバランス崩すとガラガラ、ガッシャン。すっ飛んだ小さなパーツを部屋中探し回ることン十分。てなことが2、3回発生したのであきらめた。
洗って乾かす
仮組みでパーツの合わせが終わったら、バラして、お風呂洗剤(中性洗剤)で洗浄。プラモデルは、溶けたプラを金型に流し込んで作られるんだけど、冷えて固まったプラを金型から取り外しやすいように離型剤という油分が使われる。これがプラの表面に残っていると塗装するときに塗料をはじいたり、剥がれやすかったりと問題になる。ガンプラは、バンダイ脅威のメカニズムでなぜか離型剤を使わずに製造してるので洗浄不要。しかしこのプラモデルはバンダイ製品じゃない。仮組みしてると指がスルスル滑るようになってくるので離型剤が残ってることがよくわかる。化粧品成分だと低粘度ジメチコンみたいな感触。表面全体にうっすらとついている離型剤を洗剤で洗い落とす。あーめんどくさい。偉い人は、超音波洗浄機(眼鏡店の店頭に置いてあるやつ)でガーっと洗っちゃうらしいんだけど、ガンプラばっかりつくってた軟弱さんはそんな便利な機材は持ってない。いらなくなった歯ブラシ使って中性洗剤でシャカシャカと洗っていく。黙々とシャカシャカし続ける。
洗ったパーツはよくすすいで、よーく乾かす。乾燥に使うのはみんな大好き山善の食器乾燥機。安くて優秀。アマゾンのレビュー評価は非常に高いんだが、レビュー内容を読むと食器乾燥機として使ってない人が多数。俺もそのひとり。山善さんすみません。
パーツの奥まったところに水が残りやすいからしっかり乾燥。どうせ週末にしかプラモ作れないからホコリがつかないようにこのまま次の週末まで時々乾燥機のタイマーを入れてじっくり乾かしたよ。
塗料
乾いたらいよいよ塗装。しかし、生まれてこのかたプラモデルの塗装なんてまともにやったことがない。色が足りないところにちょっと筆塗りするくらいしかやったことがないけど、そんときに使ってるのは溶剤臭がかなり少なくて健康にさほど悪くなさそうな水性塗料(クレオス 水性ホビーカラー)。雑誌やネットだと乾きが早くて丈夫なラッカー塗料を使ってる作例がほとんどだけど、むかし日曜大工でラッカー塗料の缶スプレーを使ったときのあのいかにも健康に悪い感じの強烈な有機溶剤臭には耐えられん。初の本格プラモ塗装も水性ホビーカラーでやる。
ザ・ナイト・オブ・ゴールド(黄金の騎士)って名前の通り、外装は金色。骨格や手は初期の設定画だとロボットの関節の定番色のダークグレーだけど、だんだん設定が変わって、最終的には骨格もキラキラに。銅色にする人が多いのでわたしも銅色に。長いものには巻かれておけ。
モデラーは複数の塗料を混ぜて自分好みの色を調色するんだけど、わたしにそれはハードルが高すぎなので既成の色で塗る。ということで、外装はクレオス水性ホビーカラーの「ゴールド」、骨格はクレオス水性ホビーカラーの「カッパー」で決定。
どうやって塗るか
広い面積を筆塗りできれいに塗るのはなかなか難しい。こういうときは「エアブラシ」という霧吹き装置を使うと便利なんだけど、機材一式揃えるとあっという間に数万円が飛んでいく。これを機に本格的な塗装環境を整備するっていうほど将来に明るい展望があるわけでもないので、なんか安上がりな霧吹き装置はないんだろうか、とあれこれ調べてたら、ありました。
イージーペインター
空気を噴射して狭いところに溜まったゴミやホコリを掃き出す「エアダスター」。この空気噴射缶を使って、塗料を霧吹きできるようにする装置。装置というほど大袈裟なもんでもない。エア缶にカパッと取り付ける結構簡素なプラスチック部品。細長いプラボトルに好きな塗料を入れてエア缶に取り付ける。エア缶から空気を吹き出させるとその勢いで塗料が吸い上げられて空気と一緒になってプシューっと霧吹きできる。イージーペインター専用のエア缶もあるけど高いので、市販のエアダスターで代用。
イージーペインター
市販のエア缶に取り付けて使う
いざ塗装
本格的には表面の状態確認と塗装の食いつきをよくするサーフェイサーを塗って、その上から塗料の発色をよくするための下地色を塗って、その上から塗装するんだけど、めんどくさいからやりません。なんとかなるでしょう。
エアブラシ塗装するときの塗料は、筆塗り用のままでは濃すぎて細い噴射口がすぐ詰まったり大きな粒子が飛んでブツブツになったりするらしく、薄め液で希釈して使うらしい。しかし、ネット上の数少ない情報によるとイージーペインターは空気圧が強いのでエアブラシのときほど希釈すると空気の勢いで吹き流されてまだらになってしまうって話もある。いらない部品に試しに吹き付けてみたところ水性塗料:薄め液が2:1くらいで十分で、それより濃くても大丈夫そう。
塗料を霧吹きするので部屋の中でやると大変なことになる。偉い人は、塗装ブースという、室外への排気装置がついた箱を使ってるんだけど、機材一式揃えるとあっという間に数万円が飛んでいく。これを機に本格的な塗装環境を整備するっていうほど将来に明るい展望があるわけでもないので、お外で塗装です。段ボール箱を立ててその中に向かってプシュー。
イージーペインターは缶スプレーと同じように吹き出しがかなり広がるから、パーツに当たらず無駄になる塗料がけっこう多い。筆塗りと比べると感覚的には3、4倍の勢いで塗料が消費される。特に小さな部品を塗装するときは大半の塗料はパーツに当たらず段ボール箱の奥へまっしぐら。しかも吹き返しでこちらにも少し舞ってくるんで防塵マスクとゴーグルはつけた方がいい。
イージーペインターはかなり勢いよく噴射されるのでうっかりすると吹きつけすぎでダラダラ〜になるから注意。薄く吹きつけたらいったん乾燥機に入れて乾かす。最初は不均一だしプラスチックの成形色がかなり透けて心配になるけど、ぐっとこらえて「薄く吹きつけて乾燥」を3、4回繰り返すと下地の色が見えなくなって、均質できれいなゴールドに。
塗装が終わったらイージーペインターを分解。残った塗料は塗料瓶に戻す。水性塗料だから乾く前なら水で洗える。しかも水性ホビーカラーはアルカリ洗剤にめっぽう弱いという特性があるのでキッチンマジックリン(アルカリ洗剤)で洗うと簡単にキレイにできる。後片付けが簡単。すばらしい。
スプレー塗装が終わったら、細かいところを筆塗り。おでこの赤と白のレリーフはとても目立つので慎重に慎重に。老眼には辛い作業だけど、なんとかできた。近づいて見るとはみ出しがあってガックリだけど、大丈夫、おれは老眼。ちょっと離れればまったくわからない。老眼万歳。
いつもならこのあと墨入れ(ミゾに黒を塗って凹凸や輪郭をはっきりさせる)をするんだけど、なんとなく墨入れしない方がカッコいいんじゃないかと思ったんでやらないことにした。塗装が終わったらデカール貼り。
仕上げにクレオスの水性トップコート(光沢)をプシューっと吹き付ける。いっきに吹き付けると細かい気泡が混ざってそのまま固まってしまうので、これも「薄く吹きつけて乾燥」を3、4回繰り返す。よーく乾燥させればツルツルテカテカピッカピカのカッチカチだぁ!!偉い人はここからさらに研磨剤を使って「研ぎ出し」するらしいけどそんな気力はわたしにはございません。もう十分です。
トップコートが乾いた部品から順に組み立てていくとだんだん形になっていく。うおー、うおー、予想以上にカッコいい、かっこいいですよ。
完成
あぁぁぁぁあぁぁぁ、カッコいい。かっこいいですよ。夢にまでみたザ・ナイト・オブ・ゴールドのプラモデル。生まれて初めての本格塗装もなんとかうまくいったし。満足感が満足してる。
腰に懸架している大砲(バスターランチャー)は、展開して持たせることもできる。デカい大砲は男の子のロマンです。撮影用のブースからあっさりはみ出すんで作業机の上やディスプレイ棚で撮影。
バスターランチャーはロマンだ。
L.E.Dミラージュ、バッシュ・ザ・ブラックナイトと並んで
ディスプレイ棚を整理して、モーターヘッド用に1段確保。不気味なスキ間は、もちろんあと1、2騎は並べられるようにという自分への親切心。なんていい人なんだオレ。