久光の久の字は思った以上に複雑な事情を抱えているらしい

だいぶ前の話になるんだけど、個人番号の通知カードって届いたでしょ。当然ながら私にも届いたんだが、その通知カードの備考欄みたいなところに【代替文字情報】が書いてあった。

代替文字情報
代替文字情報

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どうやら「ひさ」という字になにか問題があって置き換えますという感じだと思うんだが、当時は通知カードの配布が始まったばかりでネットで調べてもそれ以上のことはわからず、市役所の出張所に聞きに行ってもやっぱりわからず。

↓これはいったいなんなんだ?

って違う字なの?そうなの?そうだったの?

違う字だとしたらどっちが何なの? ねえ? なんなの? わからん。ぜんぜんわからん。渡辺、渡邊、渡邉みたいなもの?それとも斉藤、斎藤、齋藤みたいなもの?それとも浜田、濱田みたいなもの?それとも真田、眞田みた・・・・あ、もういいですね、はい。

よくわからないまま放置してたんだけど、半年くらい前に個人番号カードを作った。通知カードと違ってプラスチックカードなので財布に入れておいてもクシャクシャにならない。ICチップが内蔵されているのでオンライン納税とかコンビニのコピー機で住民票出力とかにも使える。申請して1ヶ月くらいして忘れた頃に「個人番号カードができあがったから市役所に取りに来てね」みたいなお知らせが届いたんで市役所へ行ったついでに受け取り窓口の人に【代替文字情報】について教えてもらった。

教えてもらったんだけど・・・・ややこしくてやっぱよくわからない。間違ってるかもしれないけどたぶん下のようなことらしい。


  1. マイナンバーはいろいろな電子証明にも活用される。
  2. 電子証明ではコンピュータ間で文字情報をやり取りする。
  3. 電子証明でコンピュータ間のやりとりに使う文字は『JIS第1水準、第2水準およびJIS補助漢字』の合計約13,000文字と決めてある。
  4. このリストに含まれない文字を名前に使っている場合、そのままではコンピュータ間で文字情報をやりとりできないので【代替文字情報】ってとこに書いてある代替文字を使って処理される。
  5. あくまでコンピュータ間での情報処理に使われる文字で、住民票など印刷されるものには今まで通り戸籍に書かれているままの文字で印刷されるので知らなきゃ知らないで一生気づくこともない

ってことらしい。

ふーん。つまり『あなたの名前には一般的なパソコンでは使えない特殊な文字が使われています。そこで電子証明などコンピュータ処理の時だけはパソコンで使える似た文字に置き換えてやりとりしますね。』ってことらしい。

あー、つまり、なんだ、その、わたしの名前は戸籍には

と書いてあるんだが、この「」という文字はJIS第1水準、JIS第2水準、JIS補助漢字のどこにも載ってない特殊な文字だと。そう言いたいのか。特殊な文字だから電子証明などでコンピュータ間でデータをやり取りする際にはJIS第1水準にある「」という文字が似ているからそれを使った

というデータでやりとりします、ということらしい。

ふーん。

 

 

 

 

えぇーーーーーーーーーーーーーっ!!! そうなの?!

 

 

 

 

って単にデザインの違いで同じ字だと思ってたけど、総務省にとっては「辺」と「邊」と「邉」が違う字だというのと同じく、は違う字だという解釈なのか。まあ確かにちょっと形が違うわな。しかし、しかし、しかしだな、「辺」と「邊」と「邉」は異なる字として認識してる人がほとんどだと思うが、これはどちらも「久」の字であえて異なる字として認識してる人はいないんじゃないか?書体とか書きクセの範囲内でどっちも同じ字だろ。そうだよな?な?

みんなさ、「久」という字を使った人に年賀状書くときに「この人の「久」の字は最後の画をどこから出す字を使ってたっけなぁ」とか考えたことある?ないよな?俺自身考えたことすらなかったヨ。渡辺さんや渡邊さんや渡邉さんに手紙書くときは迷うけど、久光さんとか久保田さんとか久木野さんに手紙書くときには迷わないよな。

ていうかさ、とっても重要なことなんだけど、学校の教科書で使っている「久」の字は最後の画を真ん中から出してるんだよ。

↑見てくれ!教科書体は真ん中から出してるんだよ。

小学漢字辞典

小学生向けの漢字辞典も

国語の教科書

国語の教科書だって、みーんな「」の字だよ。

ところが、総務省は『JIS第1水準に載っている「久」の字の形は最後の画が上から出るんだ。最後の画を真ん中から出す「久」の字はJIS第1水準に載っている「久」とは形が違う!』という立場なわけだ。

総務省は何を言ってるんだ?? 文部科学省に喧嘩売ってんのか?? 学校教育をナメとんのか?!

突っ込んで話を聞くと、総務省は標準的な「明朝体」のデザインを正しい字の形として考えてるんだってさ。

ああ、なるほど。明朝体ね。標準的な明朝体で出力される字の形を正しい字の形として考えていて、学校で教える字の形(教科書体)とは判断基準が違うのね。

つまりこの国は、子どもたちに「久」の字は「」が正しい字形だと教えておきながら、住基ネットや個人番号制度では「」が正しい字形で「」は特殊な字形だと言うのね。

いやー、どっちも同じ字でしょ、これは。区別する必要あんの?

別の字だあぁぁぁ(涙)

日本の文字を行政で統一的に取り扱うための「文字情報基盤」整備事業ってのがあって、ここでIT社会で日本文字をどのように取り扱うかを決めてるらしい。その結果を検索できるのが独立行政法人情報処理推進機構の文字情報基盤文字情報一覧表(MJ文字情報一覧表)。上の画像はその検索結果画面。

そうなの、そうなのね。一般生活では同じ字だろうがなんだろうが、行政上の取り扱いとしては別の字なのね。しかも学校で教えている字形よりも明朝体の字形の方が正しい形だと言うのね。ああ、そうですか、そうですか。

なんか釈然としないなあ。おれ、何か勘違いして理解してんのかな。わからん